日々、アオハル

私の涙を見た柊くんの瞳がゆらりと揺れる。何かに耐えるように、僅かに眉を寄せた柊くんは、一拍置いたのち口を開いた。


「羽森さんと同じチームだったら、ってのはいつも思ってた。けど、三田第一に行けばよかったって思ったことは一度もないんだ」


それまで浮かべていた苦しそうな笑みとは一転、 柊くんはの表情がすうっと穏やかなものになる。


「俺も、自分のチームが好きだから」

「……」

「白石東のあいつらとバスケをするのが好きなんだ」

「……」

「だから俺も、最後の大会までは部活に集中することにする」


言葉が詰まり、うんうんと頷くだけの私に柊くんは眉を下げた。


「羽森さんの立場、考えられてなかった。ごめん」

「ううん、」

「悩ませてごめん」

「っ、ううん」

「二人で会うのは、これで最後にしよう」


もう自分の意志ではどうにもならないくらい、両目からはぽろぽろと涙が溢れだした。柊くんの表情見えなくなるくらい、視界が大きく歪む。


「……ごめん。泣かないで」

「っ、ぅ」


ちがう。柊くんは悪くない。謝らなければいけないのは、私のほうなのに。


タガが外れたように涙を流し続ける私に、柊くんがタオルハンカチを差し出してくれた。目元を拭うと柊くんと同じ爽やかな香りが漂ってきて、それだけでまた涙腺が刺激された。
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