日々、アオハル
episode06.
「宣誓、我々選手一同は――」
時は過ぎて五月。
体育館中に響きわたる白石東の大河原くんの選手宣誓で、三年生最後の地区大会が幕を開けた。
12校の中から次の県大会へ進むことができるのは2校のみ。ここにいるほとんどの三年生部員が、この大会で引退を迎える。
新人戦や他のどの大会よりも、独特な緊張感が漂っていた。
「亜美ちゃん、顔色悪くない? 大丈夫?」
「実は……、緊張しすぎて昨日あんまり眠れなかったんです」
「ええ、体調は?」
「全然元気ではあるんですけど……緊張で吐きそうです」
普段よりワントーン声の低い亜美ちゃんは「先輩たち、引退するの嫌です……」と肩を落とした。
「大丈夫! 絶対に県大会行きを決めてくれるはずだから。今日で引退しないよ!」
「うぅ、ひな先輩は緊張してないんですか?」
「……実は私も、めちゃくちゃ緊張してる」
「ですよねですよね!やっぱり緊張しますよね!」
今日の試合は負けたら終わりのトーナメント方式。三年生にとっては最後の地区大会ということもあって、どのチームも気合の入り方が違う。三田第一は第二シードではあるけれど、初戦で敗退の番狂せが起きるということもあり得なくはない。