日々、アオハル


三田第一はトーナメントを順当に勝ち上がり、決勝戦まで駒を進めた。それと同時に県大会の切符も手にし、この大会での引退は回避することができた。


「まずは県大会出場おめでとう。三年生たちのバスケがまだまだ見れそうで俺は嬉しい!」


決勝戦前のミーティング。山口先生の言葉に部員全員が耳を傾ける。マネージャーの私を含め、三年生全員の顔を見渡した山口先生は、ニカっと笑いながら大きな拍手をくれた。


「そんで次の決勝だ。今日の試合を見る限り、相手の調子はすこぶる良い。特に柊。柊をどれだけ止めれるかが勝敗の鍵になってくると思う」


決勝戦の相手は白石東。山口先生の言葉通り、白石東は全ての試合のスコアが3桁を超えている。特に柊くんの活躍は凄まじく、準決勝では得点数が50点を超えていた。


「県大会行きの喜びをどーんと決勝でぶつけてこい!決勝の舞台を何よりも楽しめ!」


山口先生の言葉に、部員全員が大きな声を上げた。




白のユニフォームの三田第一、黒のユニフォームの白石東。決勝戦はコート内だけではなく、ベンチや2階の応援席までも凄まじい熱気を放っていた。


私は皆に連れてきてもらっている立場だけれど、決勝戦のコートでしか味わえない雰囲気や、感じることのできない思いがある。


緊張感と高揚感で心臓は壊れてしまいそうなほどの動きを見せている。早くも涙ぐみそうになるのを必死で耐える。


目の前に広がる青春、1シーン1シーンをを見逃さないように。全てのキラキラとした瞬間をこの目に焼き付けたい。


コート内で全力で戦う皆の勝利を祈りながら、首元から下げているお守りをぎゅっと握る。


3秒、2秒、1秒――――


ブザー音が鳴り響き、一瞬の静寂の後、会場全体が大きな歓声に包まれた。
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