日々、アオハル
「ひな。これまでチームのために頑張ってくれてありがとう。ひなはマネージャーになって初めてバスケに関わったから、大変だったことも悩むこともたくさんあったと思う。自分の気持ちを犠牲にして、俺らを支えてくれたことも分かってる」
歪む視界の中、真っ直ぐに私を見つめる光希と目が合った。言葉の代わりに首を何度も横に振る。
「皆が言った通り、このチームの原動力は間違いなくひなだった。部長の俺も、ひなの言葉や行動に何度も助けられてきた。バスケ部のマネージャーになってくれてありがとう。最高のマネージャーだったよ。今までお疲れ様でした」
引退が決まったあの日、家に帰ってからもしばらく泣き続けた。涙の木はもう枯れ果ててしまったと思っていたのに、私の中にまだこんなにも涙が残っていたなんて。
だけどこの涙は、悲しさや寂しさといったマイナスなものではなくて、皆へのありがとうが詰まった温かい涙だった。
何度も何度も目元を拭う。呼吸を整えて、正面へと顔を向け直した。
「私の方こそ、今まで、本当にありがとう。皆のおかげで、たくさん素晴らしい景色を見ることができました。皆のバスケが大好きで、マネージャーとしてこのチームを支えることができて、本当に幸せでした。たくさんの思い出とたくさんの青春をありがとうございました」
朝の体育館。バスケットボールが跳ねる音。シューズの擦れる音。試合が始まる前の緊張感。コートに広がる選手たちの熱気。ベンチの一体感。試合に勝利した時のうれしさと負けた時のくやしさ。
バスケ部に入ったおかげでたくさんの青春を感じることができた。マネージャーを通して得られた様々な感情や思い出たちは一生の宝ものだと思う。
たくさんの青春を与えてくれて、たくさんの青春を共に創ってくれた仲間たちへの感謝を胸に、深く、深く頭を下げる。
たくさんの温かい拍手が降ってきて、再び頬にはとめどなく無数の涙が伝っていった。