日々、アオハル
「柊くん!」
校門前に立っていた柊くんに横から声をかけると、ぴくっと肩を揺らした柊くんの瞳がスマホから私へ移った。
制服姿の柊くんはとても新鮮で。ジャージやユニフォーム姿ももちろんかっこいいけど、王道の制服姿の柊くんは、まるで少女漫画の中から飛び出してきたような最強のビジュアルをしている。
さっきからずっと、きゅんきゅんが止まらない。
「お待たせしました」
「ううん。行こっか」
柊くんと横並びになって駅までの道を歩いていく。
下校時間ということもあって、この時間帯は校門前でたむろっている生徒や、駅へ向かう生徒が大勢いる。
私たちと同じようなカップルの姿も決して珍しくないのに、どうしてか他の生徒からの視線をチラチラと感じる。他校生と歩く私の姿が珍しいのか、それとも柊くんのかっこよさのせいなのか。
「(釣り合ってないって思われてたら、やだな……)」
普段あまり注目を集めることはないので、好奇な視線が不安になって顔を下げていると、「羽森さん」と名前を呼ばれた。横を見上げてすぐ、左手を差し出された。
「手、繋いでもいい?」
「人がたくさんいるけどいいの?」
「羽森さんは嫌?」
「う、ううん。私も繋ぎたい」
「よかった」
柊くんの左手と私の右手が重なって、自然と指が絡み合う。ドキドキ、ドキドキ、と大きく鳴り響く心臓の音が指先を通して柊くんへと伝わってしまいそう。
「これ、牽制」
繋がれた手に目を落とした柊くんは、得意げに口の両端を持ち上げた。