日々、アオハル
一つ結びにするのも難しいくらいの短さなので、お団子は当分できそうにない。柊くんの前でお団子ヘアを披露できるのはもう少し先になってしまいそう。
それを少し残念に思っていると、「あー……」と若干気まずそうな声が耳元に届いた。
「お団子が好きっていうか、羽森さんがしてる髪型ならなんでも好き、っていうか……」
「えっ?」
「お団子姿も可愛かったし、前のセミロングも可愛かった。大会の時にたまにしてたツインテールも可愛かったし、もちろん今の短いのもめちゃくちゃ可愛い」
致死量の''可愛い''を真正面から浴びてしまい、フラフラと倒れ込みそうになる。
追い打ちをかけるように「だから俺の今の好きな髪型はボブかな」と至って真面目な顔で言う柊くんに、完全にノックアウトされてしまった。
「ずっと思ってた。羽森さんは可愛い」
「そ、そんな、」
「こんなこと羽森さんにしか思わないし、羽森さんにしか言わないから」
「……」
「……」
「ごめん。浮かれすぎてきもいことばっか言ってる」
表情を強張らせた柊くんは、ぎこちない動きで正面へと顔を逸らした。
「私も、ずっと思ってたよ」
繋がれた手にきゅっと力を込める。もう一度、柊くんの視線が私へと戻ってくる。
「ジャージ姿もかっこいいし、黒のユニフォーム姿もかっこいい。クリスマスの時の私服も、制服姿も、どんな柊くんもすっごくかっこいいよ」
お返しとばかりにたくさんの "かっこいい" を柊くんへ送った。私だってこんなこと柊くんにしか思わないし、柊くんにしか言わない。
目をこれでもかと丸めた柊くんは、何かに耐えるように、ぐっと眉根を寄せた。
「……死にそ」
「……私も」
二人して同じように顔を赤らめながら、小さく笑い合った。