日々、アオハル
番外編1.はじめてのデート
「世那くん!お待たせ」
学校の最寄り駅、外ベンチに座る世那くんに声をかけると、俯いていた顔が上げられた。
眠っていたのか、眩しそうに目を細め、瞬きを繰り返す世那くんはゆっくりと焦点を私に合わせる。
「ん、おつかれさま」
ヘッドホンを外した世那くんは、とろんと眠そうな声を出した。
「待たせちゃってごめんね。今日日直だったんだけど、日誌出しに行ったら先生に仕事頼まれちゃって……」
「ううん、全然大丈夫。お疲れ」
「ありがとう。世那くん、寝てた?」
「うん。軽く目瞑ってたつもりがいつの間にか寝てたみたい」
ふあっと欠伸をした世那くんは、潤ませた目で私を見上げる。
「今日は放課後 雛夏に会える日だから、楽しみでずっと目が冴えてたんだよね。授業中一回も寝てなかったから目瞑っただけで寝ちゃったのかも」
淡々と告げられた台詞に胸がきゅうっと苦しくなる。
「ふふ。私も世那くんとの放課後デート、すっごく楽しみにしてたの」
世那くんはどちらかといえば、ストレートに自分の気持ちを伝えてくれる人だと思う。だから私も自分の気持ちを素直に世那くんに伝えたいと思っている。
とはいえ、世那くんと付き合って二週間とちょっと。私の心臓はまだ、世那くんに慣れてくれない。