日々、アオハル

今日の放課後は私の学校の最寄駅で待ち合わせをして、電車に乗ってショッピングモールへやってきた。


ここは市内の学生たちにとって数少ない遊び場とあって、平日の夕方には制服姿の高校生たちで多く賑わっている。


放課後の制服デートは、彼氏ができたらやってみたかったことの第一位。長年憧れていた夢が、世那くんのおかげで一つ一つ叶えられていく。


「雛夏、見て。これ麦太とあんずに似てない?」

「わー!ほんとだ!」


ショッピングモールに隣接されているゲームセンター。世那くんが指差す先、UFOキャッチャーの中にはまん丸で真っ白な犬のマスコットがずらりと並んでいた。


大好きなビションフリーゼのグッズに、分かりやすくテンションが上がってしまう。


ガラスに手をかざしながら「かわいい……!」と声を漏らしていると、隣からジャラジャラと硬貨の擦れる音が聞こえた。


「3回以内に取る」


台に手を付き、中にいるビションたちをじっと見つめる世那くんは、機械に100円玉を5枚投入した。1プレイは200円。500円を入れると3回プレイできるようになっている。


軽快な音楽をBGMに、ボタンを押しながらアームを動かす世那くんの表情は真剣そのもの。試合でフリースローを決める時とまるで同じ、集中した横顔がかっこよくて、ドキドキしてしまう。
< 168 / 186 >

この作品をシェア

pagetop