日々、アオハル
背負っていたリュックを前に抱えた世那くんは、チャックの部分にビションを付け始めた。
予想していなかった世那くんの行動に、思わず目を丸めてしまう。
「世那くん……いいの?」
「え?」
お揃いといっても、まさか同じようにバッグに付けてくれるとは思ってもいなかった。あんずや麦太にそっくりなビションフリーゼのマスコットはとても愛くるしい顔をしていて、男の子が身に着けるには可愛すぎるものだから。
てっきりもう1匹は部屋にでも置いてくれるのだと思っていた。
もしかして、私に合わせて無理してるんじゃないかな?本当は付けるの恥ずかしいんじゃないかな?と勝手にソワソワしてしまう。
そんな心配をよそに、世那くんは「なにが?」とでも言いたそうなきょとんとした顔で首を傾げていた。
「これ、世那くんが付けるには可愛すぎない?恥ずかしかったら全然無理しなくても大丈夫だよ」
「雛夏とお揃いだから恥ずかしくなんてないよ」
「リュック、学校にも持っていくものなのにいいの?皆に見られるのに」
「だから付けるんだよ」
付け終わったキーホルダーを私に向けた世那くんは、悪戯っぽく唇の端を持ち上げた。
「波琉たちに自慢する。雛夏とお揃いだって」