日々、アオハル
「次は――、次は――」
電車に揺られること10分ほど。聞こえてきたアナウンスに朦朧としていた意識がはっとした。
スクールバッグの前ポケットから手鏡を取り出して、無駄に前髪を整えちゃったりして。
背筋をぴんと伸ばしてみちゃったりもして。
気持ちが落ち着かずそわそわしていたところ、完全に電車は停車し、ボタン式の扉がプシューと開いた。
乗り込んでくる数名の足音を聞きながら、表情を変えず窓の外を一点に見つめる。
ふと、視界の端に白のエナメルバッグが映る。
嬉しさと緊張が混ざり合い鼓動が早くなっていくのを感じる。いよいよ平常心を保てなくなってくる。
バッグにつけたお気に入りのうさぎのマスコットを握りしめ、ふう、と一呼吸置く。
首を僅かに右へと回し、ちらり、上目を動かした。
「(はあ…今日もかっこいい…)」
朝から目の保養をありがとうございます。
と、心の中で手を合わせる。
私の蕩けた視線の先には、高校指定の夏用ジャージを着こなす1人の男子高校生の姿。
座席は空いているのに座ることはなく、扉付近に寄りかかって立っているのはいつものこと。大きめのヘッドホンを耳につけ、私の座る位置とは反対側の窓の外へと顔を向ける彼に数秒おきに目をやる。
盗み見していることがバレないように、あくまでも自然に。目を逸らして、目を向けて、を繰り返す。
電車に揺られること10分ほど。聞こえてきたアナウンスに朦朧としていた意識がはっとした。
スクールバッグの前ポケットから手鏡を取り出して、無駄に前髪を整えちゃったりして。
背筋をぴんと伸ばしてみちゃったりもして。
気持ちが落ち着かずそわそわしていたところ、完全に電車は停車し、ボタン式の扉がプシューと開いた。
乗り込んでくる数名の足音を聞きながら、表情を変えず窓の外を一点に見つめる。
ふと、視界の端に白のエナメルバッグが映る。
嬉しさと緊張が混ざり合い鼓動が早くなっていくのを感じる。いよいよ平常心を保てなくなってくる。
バッグにつけたお気に入りのうさぎのマスコットを握りしめ、ふう、と一呼吸置く。
首を僅かに右へと回し、ちらり、上目を動かした。
「(はあ…今日もかっこいい…)」
朝から目の保養をありがとうございます。
と、心の中で手を合わせる。
私の蕩けた視線の先には、高校指定の夏用ジャージを着こなす1人の男子高校生の姿。
座席は空いているのに座ることはなく、扉付近に寄りかかって立っているのはいつものこと。大きめのヘッドホンを耳につけ、私の座る位置とは反対側の窓の外へと顔を向ける彼に数秒おきに目をやる。
盗み見していることがバレないように、あくまでも自然に。目を逸らして、目を向けて、を繰り返す。