日々、アオハル

2人のことが少し羨ましかったんだと思う。


好きな人のことをキラキラとした表情で話し、堂々と応援することができる。そんな2人が眩しくて。


「青春ぽくていいなあって。ちょっと思っちゃった」


柊くんへの気持ちが憧れだったとしても、彼のことは2人にまだ話せていなかった。


柊くんがもし、同じ学校だったら……。私も堂々と彼の話を2人にすることができたのだろうか。心から、彼のバスケを応援することができたのだろうか。


なんて都合よく想像したところで虚しくなるだけで、少しだけ、胸が苦く染まった。




時刻は18時を過ぎ、周りにいた学生たちもぞろぞろと帰り支度を始めていた。


「ひな、本当に一緒に待ってなくて大丈夫?」

「うん平気。お兄ちゃんもう少し時間かかっちゃうみたいだからさ。2人は暗くなる前に気をつけて帰ってね」


2人は高校の近くに住んでいて自転車で通学をしている。私はいつも通り電車で帰ろうとしていたけれど、仕事でこの近くまで来ていたお兄ちゃんがここまで迎えに来てくれることになった。


2人は私が1人でここに残ることを心配してくれていたけど、暗くなる中自転車で帰る2人の方が心配だ。


「じゃあまた明日ね。変な人に声かけられても無視だからね」

「ほんとそれっ!絶対着いていっちゃだめだから!」

「ふふっ。気をつけます。2人も気をつけてね」


2人を見送った私は、窓側の1番奥、広いボックス席に1人となる。
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