日々、アオハル
スマホで時間を確認すると、お兄ちゃんが迎えに来てくれる19時まであと30分以上も時間があった。


英単語がを書き殴ったノートをもう1度開いて、シャーペンを握り直す。




「ねーねー。こんばんは」


5回目の''example''を書こうとした時だった。


声の方へと顔を向けると、私の席の通路側にはジャージ姿の高校生数人が立っていた。


その威圧感に反射的に顔を背けると「こーんばんは」と更に軽い口調の声が飛んでくる。


「(どうしよう……。変な人たちに声かけられちゃった……)」


まさか本当に変な人たちに出会してしまうとは。場所が場所だけに安心してしまっていた。よりによって1人の時に……。


こういう時はスルー一択と決めている。


いつもの経験上、このまま黙っていれば諦めていなくなってくれるはず。


目の前にあるノートの罫線を一点に見つめ、唇をぎゅっと結んで耐える。



「三田第一のバスケ部のマネの子だよね?」

「えっ」


さっきとは違う少し低めの声に思わず顔を上げると、その主は身体を前のめりにして自分の顔を指さすと「俺らのこと知らない?」と首を傾げた。


その顔には見覚えがあった。


「あっ……白石東の、バスケ部の……」

「そう!正解。俺は部長の大河原です」


そう名乗りながら爽やかに笑う大河原くんにぺこりと一礼をする。
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