日々、アオハル
「急に話しかけちゃってごめんね。なんか見たことある顔だなって思ってさ」
「あ、はい……」
「1人?何してたの?」
「皆で勉強してて…。今は迎えを待ってます」
「皆ってバスケ部のやつら?」
「いや、同じクラスの友達です」
「迎えはもうすぐ来そうなの?」
「いえ……、あと30分くらいはここで待ってます」
人見知りを発揮し辿々しく喋る私とは違い、大河原くんはぐいぐいと質問責めをしてくる。
「それならよかった」
「それならよかった……?」
言葉の意味が分からず同じように繰り返すと、大河原くんは僅かに右口角を持ち上げた。
「俺らハンバーガーが食べたくてここに来たんだけどさ、俺とここにいる佐野、安達、三宅の4人がどうしても急に帰らなくちゃいけなくなってちゃってね」
自分の名前を呼ばれたタイミングで「はい」と1人ずつ右手を挙げていく3人。
依然として言葉の真意が分からず「はあ…、」と相槌を打つと大河原くんは更に妖しげに笑みを深めた。
「さすがに1人にするのは可哀そうだからさ、」
「は、ちょっ、やめろ」
大河原くんとは別の、怪訝そうな声が彼らの背後から聞こえる。
最初に私に声をかけた軽い口調の佐野くんは、死角に隠れていたであろう人物を無理矢理引っ張り出すと、私の目の前へと差し出した。
「うちの柊、ここに一緒にいい?」