日々、アオハル
「俺も」
「俺もー」
「俺は知ってたよ。世那はこう見えて可愛いやつなんだよ」
三宅と安達が佐野に同調するけれど、波琉だけは「な?」と同意の言葉を向けてくる。可愛いと言われるのは男として心外なので「かわいくねーよ」と突っぱねた。
「あ〜なんか俺も恋したくなってきた。世那みたいなピュアっピュアなやつ」
盛大に天を仰いだ佐野は「できればひなちゃんみたいに可愛い子と」と付け加える。
「まっじで可愛いよな。近くで見た時の透明感えぐかったし」
「あー、分かるわ透明感。声とか話し方も可愛いし、ちょっとおどおどしてる感じも可愛い。総じて可愛い」
「あの世那が好きになるだけあるよね」
“可愛い”の話題が俺から羽森さんに変わったことはいいけど、なんだかもやもやする。羽森さんが可愛いのは百も承知だし、誰が見ても可愛いのは間違いないんだけど。なんか、もやもやする。
何も言わずに黙ったままでいると、佐野が俺の目をまっすぐに見てきた。
「ひなちゃんが世那の好きな子じゃなかったら、本気で狙いに行ってたんだけどなー」
「……」
常にヘラヘラと軽口を叩いている佐野のこの言葉は果たして本気なのか、冗談なのか。
「……別に、狙えばいいだろ。ライバルじゃん」と少し強がって言うと、「安心しろ。俺は恋愛より友情を取る男だから」と佐野は誇らし気な顔で親指を立てた。