日々、アオハル
「友達になった」
「他には?」の問いにそう答えた。さすがにこれは大きな進歩だろう、と少し誇らし気に声を張ってみる。
あの時の羽森さんも可愛かった。少し照れた表情で「お願いします」と言ってくれた姿が可愛かった。
羽森さんの中で ''他校のバスケ部員'' から ''友達'' に昇格できたことは、俺にとったらかなり大きな一歩だった。
「それは世那からひなちゃんに言ったの?」
「そう。友達になってほしいって言った」
勢い任せに言ったあの時の言葉を口にすると、目の前の3人が急にテーブルに項垂れ始めた。
「うわーなんかやべえ、苦しい」
「なんでだよ」
「きゅんとぴゅあの過剰摂取による発作」
「意味がわかんないんだけど」
「まじでお前ら早く結婚してくれー」
「話が飛びすぎ」
胸を押さえて苦しむふりをする佐野、三宅、安達に普段は滅多にすることのないツッコミを入れる。
「世那、頑張ったじゃん」
未だ3人が苦しむ演技を続けるなか、波琉はしみじみと呟いた。慈悲深い眼差しを送られる。
「世那が頑張って話しかけてんのを遠目で見ててさ、ちょっと感動してたんだよね。人見知りなのにちゃんと話せててすげーなって」
正直言って、心を許せる友人や家族以外で人と話すことはあまり好きではない。女子とは特にそう。
あんなに自分から話すことができたのは、相手が羽森さんだからこそ。