日々、アオハル
episode03.
「宣誓、我々選手一同は――」
体育館中に響き渡る光希の選手宣誓で、2年生が主体となる夏の新人戦が開幕した。
堂々と大役を務める光希の姿に、同じ部員としてそして幼馴染として、とても誇らしい気持ちになる。
市内にある総合体育館のメインアリーナには、12校のバスケ部員たちが2列になって並んでいる。私たちマネージャーや顧問の先生たちは2階席から開会式の様子を見守る。
ピンと張りつめた空気がこちらまで伝わってくるほど、会場は緊張感に包まれていた。
白地に赤文字のユニフォームの三田第一の隣に並ぶのは、黒地に白文字のユニフォームの白石東。
無意識にも、柊くんの姿を探してしまう。
部長の大河原くんと副部長の佐野くんの後ろ。2列目に立つ柊くんは、後ろ手を組んで少し顔を俯かせている。表情までは見えないけれど、そのアンニュイな雰囲気は朝の電車で窓際を眺める姿と重なる。
柊くんの姿を見るのは、ファストフード店で声を掛けられたあの日以来だった。終業式まで朝練がなくそのまま夏休みに突入。夏休み中のバスケ部の体育館使用は午後からということもあり、同じ電車に乗り合わせることがなかった。
ここまで日が空いてしまうと、柊くんと友達になったあの日の出来事が全て夢だったんじゃないかと不安になってしまう。