日々、アオハル
「あれ?朱音あかね先輩!」
1年生を引き連れてサブアリーナに向かっていたところ。クーラーボックスを持ちながら私の左隣を歩く網代あじろくんが大きな声を上げた。
その視線の先には「えー!網代じゃん!」と笑顔で手を振る白石東のマネージャーの姿。
ジャージ姿の1年生数名を引き連れて私たちの前で止まった彼女は「久しぶり!」と網代くんへ声をかけると、横に並ぶ私に視線を移した。
「羽森さんおはよ」
「おはよう、水戸みとさん」
同じマネージャーということもあり、水戸さんとは大会で会えば挨拶を交わす間柄ではある。
「網代、三田第一だったんだ。5月の大会の時にいたっけ?」
「俺そん時胃腸炎になっちゃって大会来れなかったんすよ~。でもまさか、朱音先輩がマネやってるなんてビックリっす」
「高校ではマネージャーをやろうって決めてたの」
「髪も伸びましたね」
「うん。もうプレーヤーじゃないから伸ばし放題」
水戸さんは高めの位置のポニーテールをさらりと揺らす。
2人の会話に黙って耳を傾けていると「俺と朱音先輩、同じ中学のバスケ部だったんです。朱音先輩は女子の部長だったんすよ」と丁寧に説明をいれてくれた。