日々、アオハル
三田第一と白石東の決勝戦を前に、10校のバスケ部員やその関係者たち、2校の応援者で2階席は埋め尽くされていた。
コートを半分に分けてそれぞれで行う5分間のウォーミングアップ。私と亜美ちゃんはゴール裏に立ってそれを見守る。
光希を始め、皆の表情はいつも通りで、レイアップの練習中も笑顔が多く見られた。
一斉に多くの視線を浴びているこの状況さえも楽しんでいる皆がとても頼もしく思える。それと同時に、緊張で顔を強張らせている自分がとても情けない。
「(コートに立つのは皆なんだから。私がこんなに緊張してどうするの……。しっかり、しなきゃ)」
心の中で自分に喝を入れる。
小刻みに震える指先を握り合いながら、ふと、隣半分のコートを見た。
シュートを打ち合っている選手たちの中に、柊くんの姿はない。コート端に視線をスライドさせると、パイプ椅子に横並びに座る柊くんと大河原くんの姿があった。
「ひな先輩。あれって、気合い、入れてるんですかね?」
私の視線に気付いたらしい亜美ちゃんは、私と同じ方向を向きながら小さく首を傾げる。" あれ " とは柊くんがストローを使って缶のココアを飲んでいることだろう。
柊くんが気合いを入れるための勝負ドリンク。
ちゅー、とストローを吸っている姿が、ファストフード店で仕切りにチョコシェイクを飲んでいた姿と重なった。