日々、アオハル

第3クォーター、第4クォーターと試合は進んでいき残り時間がどんどん少なくなっていく。


64-52、三田第一が少しずつリードを広げてはいるけれど、まだまだ油断できない点差だ。


白石東の強力な守備に苦戦しつつも、三田第一は光希を中心に確実に点を取っていく。一方で、依然として柊くんの調子は戻らず、コートにいる時間も短くなっていた。


今までに見てきたどの試合でも、柊くんがいればコート全体が彼の空気に吞み込まれていた。1年生からずっと大会に出続けている柊くんは、それほどまで圧倒的な力をもつ人だ。


この試合ではその圧倒的な強さを、まだ見ることができていない。


5分、4分、3分、減っていく数字を見ながら
「(頑張って、お願い)」とチームの勝利を心の中で祈る。


残り3分になったところで、コートには再び柊くんが戻ってきた。


ボールはすぐに柊くんへと回る。ディフェンスを躱して一気にゴール下まで近付き、レイアップシュートが決まった。調子の悪い中で点数を決めても柊くんは一切の表情を変えない。チームメンバーと手を交わすと、すぐに守りに入った。


三田第一ボール。外側のラインに立つ光希はその位置からシュートを放つ。お返しとばかりにスリーポイントが決まった。
< 54 / 89 >

この作品をシェア

pagetop