日々、アオハル

シュートが決まる度に沸き上がる会場、応援に熱の入る両ベンチ、全身全霊をかけてゴールに向かっていく選手たち。


私の目の前には、眩いくらいの青春が広がっていた。


残り1分、45秒、30秒、減っていく数字に比例するように、脈打つ鼓動の速さが増していく。


スコアシートを書く手を止め、目の前のコートだけに集中する。首元の御守りを強く握りしめた。


残り15秒、ボールは白石東。恐らくこれが、ラストプレーになる。


佐野くん、大河原くんと回ったボールが柊くんへとパスされた。


歩きながらゆっくりドリブルをする柊くんは、上目で残りのタイムを確認する。


5秒、4秒――リングの正面、半円状に引かれたスリーポイントラインの外側に立った柊くんは、放物線上にシュートを放った。


ガン、とリングの縁に当たったボールは、そのまま床へと落下していく。1回、2回とボールがバウンドしたところでブザー音が鳴り響いた。一瞬の静寂の後、会場全体が大きな歓声に包まれる。


タイマーには0が3つ並んでいる。スコアボードの数字は三田第一が79、白石東が68。


「か、…た、…勝った…!」


隣にいた亜美ちゃんと2人で声を上げて抱き合う。


挨拶を終えたメンバーたちがコートの中央で輪になっているところに駆け寄った。もみくちゃにされながらも、全員で喜びを分かち合う。


涙を拭いながら顔を上げると、白石東の選手たちは大きな拍手でベンチに迎えられていた。


柊くんは大河原くんに肩を抱かれながら歩いている。涙で揺れる視界の先に、「ごめん」と一言口を動かす柊くんの姿があった。
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