日々、アオハル

「マネージャーになって初めての大会で、試合中の柊くんを見たとき、すごく、綺麗だなって思ったの」


どうしても、自分の思いを言葉にして伝えたくなった。


「綺麗なプレーをする人だなって思って、目が離せなかった」


素人の私には抽象的な表現しか出来ないから、"綺麗" という言葉でしか伝えられないのがもどかしい。


柊くんが試合をしている姿を初めて見たのは、三田第一と白石東の決勝戦だった。


3年生に混ざってプレーをしているのが、入学してまだ1ヶ月の同じ1年生だと知った時は、ものすごく驚いた。


1つ1つの動きに無駄がなくて、スマートで、それでいて繊細で。シュートを放つ瞬間の指の先まで美しかった。


中性的な顔立ちがはっきりと見えた時、綺麗なのはプレーだけじゃないんだと、更に驚いた。


それからは大会の度に、試合中の柊くんの姿を目で追っていた。初めて見たあの時、目だけではなく心も奪われたんだと思う。


柊くんのバスケには、人を惹きつける魅力がある。


「今日の柊くんのプレーが綺麗じゃないとか、そういうことではないの。全然ないんだけどね、」


「柊くんのこと、ずっと見てたから分かったの。調子が悪いとかそういうのでは絶対ないって、思ってた」


「散々なプレーなんかじゃないよ。怪我をしてるのに、すごく痛いはずなのに、それを隠してずっと攻め続けてて、やっぱり柊くんはすごいよ」
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