日々、アオハル
side 世那
「ずっ、と…?」
「うん。ずっと」
羽森さんの瞳が揺れている。
とんでもないことを言っているのは分かってる。後で冷静になった時、やっぱり言わなきゃよかったと後悔するかもしれない。
それでも今、羽森さんに伝えなくちゃいけないと思った。
「初めての大会の時。休憩中に1年何人かで鬼ごっこをしてたんだ。ちょうどあの、砂利のあたり」
繋がれていないもう片方の手で体育館外の砂利が敷かれた一角を指さす。
「そしたら1人が砂利に足を取られて盛大に転んじゃって。膝から脛にかけてけっこうな量の血が出てたんだよね」
突然始まった昔話に相槌を打つ羽森さんは、まだ話の主軸にピンときていないよう。
「とりあえずマネージャーのとこまで運ぶかってなった時、そこを通りかかった子が駆け寄ってきて。そいつの手当てをしてくれた」
「え、それって……」
「それが羽森さんだった」
羽森さんは「え、ちょっとまって、」と驚いたように目を丸めている。