日々、アオハル
「わあ…!亜子ちゃん、すごい!」
「ひなちゃんの髪は長すぎず短すぎずだから、お団子も超やりやすかったよ〜」
私が持つ手鏡越しにお団子の位置を確認した亜子ちゃんは、手際よくスプレーを振っていく。
その間にもう一度手鏡に映る自分を見る。普段は下ろすか二つ結びにするかのどちらかなので、お団子ヘアは新鮮で気分が上がっていく。
「ねえねえ、ひなちゃんの背番号の7ってさ、黒津くんに関係する数字だったりするの?」
最後の仕上げ、とコームで前髪を整えてくれていた亜子ちゃんが、嬉しそうな声で尋ねてきた。
「ねーえ!私も実は2人の関係気になってたのー!」
「その話あたしも聞きたい!」
「なになに、羽森ちゃんの恋バナ?!」
私が答えるよりも先に、周りを数人のクラスメイトに囲まれた。
体育祭や文化祭など大きな行事の時は、普段はあまり関わりがないクラスの子たちと話すことができるから、ちょっと嬉しい。
嬉しいのだけれど、私は皆が求めているような恋バナに花を咲かせることはできない。周りに話すことができる恋バナを持ち合わせてはいないからだ。