日々、アオハル
体育館の天窓から差し込む朝の光が心地よい。
決していい匂いとはいえないけれど、どこか懐かしさを感じる体育館の匂いに心が安らぐ。
目を閉じて全ての神経を耳に集中させる。
バンバン、とボールの弾む音と、キュッキュ、とシューズの擦れる音がよりクリアに聞こえてくる。静寂の中に響くこの音たちが私は堪らなく好きだ。
私にとってこの音たちはどんなヒーリングミュージックよりも癒しの効果がある。
光、匂い、音、朝一番の体育館に詰め込まれた全てに癒され、心がすうっと浄化されていく気分だった。
目を瞑りながら癒しの世界に浸っていたところ、目の前に気配を感じてそっと目を開けた。
「ひな、どうした?体調悪い?」
「ううん、全然平気」
心配そうに眉を顰めてこちらを見下ろす光希は、前髪を払って私のおでこに手をかざす。
「本当に何でもないの。ただ目を瞑ってただけだよ」
「そっか。それならいいけど」
「もうゲーム始める?」
「おう。あ、さっきの賭け、あれは無しにしといたからな」
「お昼を一緒に食べるくらい私は全然いいのに。なんなら、あっちゃんとふーこも一緒に皆で食べようよ」
いつも一緒にお昼を食べている友人2人の名前を出してみたけれど、光希の答えはノーだった。