日々、アオハル
「もしかして体育祭だった?」
「うん。やっぱり柊くんのところも今日が体育祭?」
「うん」
体育祭仕様の柊くん、恐るべし。
サッカーのユニフォームのような水色と白のストライプのTシャツを着こなし、髪の毛をウェーブさせている柊くんはいつもより大人っぽく見える。
「学校近くのマックで打ち上げして、今がその帰り」
「私もクラスの子たちと遊んでたの。同じ電車になるなんて偶然だね」
同じ電車に乗り合わせて会話ができているだけでも奇跡なのに、こんなにかっこいい姿を見ることができるなんて。やっぱり今日はいい1日だ。
ふわふわと夢見心地な気分になる。
あまりのかっこよさに顔を直視することができず、横を向きながらも視線は柊くんの髪の毛へ。
「(この髪型、女の子にやってもらったのかな…?)」
ふわふわと舞い上がっていた心に突然入り込んできたもやもや。
今朝教室で美容室を開いていた亜子ちゃんは、女子だけじゃなく、男子のヘアセットもやってあげていた。
あんな風に、柊くんも女の子に触れられていたのだろうか。そんなこと私が気にしてもしょうがないことなのに、隣で揺れる髪が視界に入れば入るほど、もやもやとした気持ちが大きくなる。