日々、アオハル

「あー……これ?」


私の強い視線に気付いたのか、柊くんは自身の頭を指さした。


「うちのバスケ部で副部長やってる佐野ってやつ覚えてる?」

「うん」

「佐野にやられた」


柊くんの言葉に、もやもやが一気に晴れる。


"やってもらった" ではなく "やられた" と眉を顰める柊くんはその髪型が気に入っていないのだろうか。どうしてだろう、こんなにかっこいいのに……。


「かっ…、……似合ってると思うよ。すごく」


かっこいい、と危うく心の声が口から出るところだった。焦ったせいで日本語が辿々しくなる。


「羽森さんも、いつもと髪型違うね」

「あ、うん。私も友達にやってもらったの」


柊くんの視線が、未だ頭の上で綺麗な丸を維持するお団子へとスライドする。じっと凝視された後、再び視線が下へと戻ってくる。


「か……、……似合ってるね」

「……ありがとう」


どことなくぎこちない雰囲気が流れる。

社交辞令であろう褒め言葉にも心は素直に反応してしまう。恥ずかしくなって、少し顔を俯かせた。



「ストライプ柄っておしゃれだよね」

「そう?」

「うん。私のクラスもストライプ柄狙ってたんだけど、3年生が優先だからだめだったの」

「でもそのデザインもいいと思うけど」

「え?」

「薄いピンク。羽森さんに合ってるよ」

「そう、かな?」
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