日々、アオハル
柊くんが合っていると言ってくれたから、私の好きな色は今日からパステルピンクになった。
お団子ヘアも、お世辞だとしても柊くんが褒めてくれたから、自分でもできるように練習しようと思う。
「羽森さんが乗ってきた時に見えたんだけど、背中の数字、どうして7なの?」
「えっ?!」
柊くんとの会話にも慣れ始めて安心していたところに、不意打ちの質問が飛んできた。無駄に大きな反応をしてしまう。
Tシャツの背面には、自分の好きな名前や数字をプリントすることができる。
恋人同士お互いの名前にし合ったり、記念日の数字をお揃いにする人たちがいる一方で、推しの名前や推しの誕生日にする人たちもいる。
私はというと自分の名前の ''HINA'' と ''7''の数字を選んだ。
この数字を選んだ理由は至って単純。柊くんの背番号が7番だから。
クラスメイトの子たちにも言えなかったのに、こんな理由を柊くん本人に言えるはずなどない。もしも知られてしまったら、ドン引きどころの話じゃない。
「……名前、」
「名前?」
「ひな、だから……7?」
即興で考えたこの答え。自分でも訳がわからず、疑問系で返してしまう。
苦し紛れに答えた私に顔を向けたままの柊くんは、ふっと小さく吹き出した。