日々、アオハル
笑った顔をこんなに間近で見るのは初めてで、思わず目を丸めた。
「いや、ごめん。それだと "ひなな" になるなって思って」
頬が緩まった顔と柊くんが口にする "ひなな" の響きが可愛くて、きゅっと胸が鳴った。
「(ひな、と、7で、ひなな。なるほどね)」
これ以上心臓が大暴れしないように、せめて頭の中だけでもと冷静を装う。
「わたしの名前、ひなな、、、じゃないよ?」
「知ってるよ」
柊くんはもう笑ってはいなくて、いつもと同じ落ち着いた表情が目の前にはあった。
「雛夏ちゃん」
「……」
「でしょ?」
真っ直ぐ瞳を見つめられて、ぼんっ!と心臓が爆発した。
少しでも気を抜けば椅子から崩れ落ちてしまいそう。自分がどんな表情をしているかも分からない。
とにかく必死に、粉々になった心臓をかき集める。
不審に思われないように、何か、何か言わないと。
「正解、です」
瀕死状態の私にはこの言葉が精一杯だった。
「俺も羽森さんと一緒だよ」
「え?」
「俺も7番」
そう言った柊くんは、背中を私へと向けてくれた。
そこには "SENA" と "7" がプリントされている。
「(お揃いだ、嬉しい)」
HINAとSENAの文字もなんだか似ている気がして嬉しい。