日々、アオハル

あの後、柊くんは同じバンドの曲を何曲か聴かせてくれた。そのどれもが優しくて爽やかで、ちょっぴり切ない歌詞とメロディだった。この曲好きだな、と直感で思った。


「羽森さんのおすすめな曲は?」と聞かれたから、好きだったドラマの挿入歌を答えた。初恋を歌った、切ないバラード曲。


柊くんは「駅降りたら聴いてみる」と言ってくれた。私の好きな曲が、柊くんのプレイリストに入ればいいなと思った。




☽༓・*˚⁺‧



お風呂上がりに部屋に戻り、ごろんとベッドに横になった。枕元に置いていたスマホを手にすると、9件のメッセージが溜まっていた。


思わず起き上がって、ベッドの上で正座になる。


《柊です》
《おすすめの曲、何曲か送ります》


届いていたのは、絵文字も顔文字もない、シンプルな敬語のメッセージ。


電車の運転が再開し、柊くんが先に降りる前、連絡先を交換した。私の友達リストに "柊世那" が追加されたのだ。


メッセージの後には曲のURLが貼られていた。今日聴かせてもらったものも含めて、柊くんのおすすめ7曲が画面に連なっている。


《羽森です》
《おすすめの曲、教えてくれてありがとう!
通学中にたくさん聴かせてもらいます₍ ᐢ. ̫ .ᐢ ₎ 》


30分以上スマホと睨めっこして、文字を打ったり消したりして、ようやくこの文章を送ることができた。


柊くんの送ってくれた7曲で作成した【♡】というプレイリストは、通学と寝る前にかかせないお供になった。
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