日々、アオハル
episode05.
俺の一番嫌いな季節、冬はすぐにやってきた。
つい先週まではブレザーだけでも平気だったのに、今週に入って急激に寒さが増した。隣の県では早くも初雪が観測されたという。
この世で一番苦手なものは ''寒さ'' かもしれない。寒さにはめっぽう弱いし、雪なんて論外。昔から寒いのが苦手で、園庭で雪遊びをする皆の姿を教室から一人眺めているような子どもだった。
一番好きな季節は秋。天候がちょうどいいというのもあるけど、秋の匂いと空気感は心が落ち着くから好きだ。
春も秋同様に過ごしやすくていいけど、花粉が飛ぶから二番目。夏は暑いからあまり好きではない。それとなんだか騒がしい感じがするから三番目。
二時間目の授業終わりに職員室に寄り、ブレザーの下に着こんだカーディガンの袖に手を引っ込めながら、部室までの道を背を丸めて歩く。
部室にはミニヒーターが1台置かれている。昼休みは暖をとるため、部室に集まるのがここ最近の定番になっていた。
「ぜってぇボブだろ」
「いや、俺はポニーテール一択!王道だし」
「あー分かる。分かるんだけど、俺はツインテールだな。うわあ、でもやっぱ悩ましいわー」
扉の前に立つと、佐野、安達、三宅の騒がしい声が廊下まで突き抜けて聞こえてきた。