日々、アオハル
「波琉はー?」
「俺?んー、俺はねえ、」
「ふわふわのくせっ毛かな」と波琉が答えたのとほぼ同時。扉を開けると、全員の目が俺へと向けられた。
「お、世那。日直おつ~」
「ちょっと待て!俺、世那のやつ当てるわ」
「いやいや世那は簡単すぎ。一択だろ」
靴を早々に脱いで、部屋の中央でヒーターの前に横並びになっている4人の間に無理矢理入り込んだ。ヒーターに手をかざしながら「なにが」と口を開く。
「女子の好きな髪型ナンバーワンについて話してたんだよ」
「冬場は寒いから髪の毛下ろしてる子が多いじゃん。夏場はいろんな髪型が見れてよかったよな~って話からここにたどりついたわけ」
「へえ」
男子高校生の会話なんて半分以上がこんなもんだ。この間は "女子のユニフォームナンバーワン" なんて話題で白熱していた。最終的に佐野たちは1年含めて部員全員に聞きまわっていて、テニス部が1番という結論で落ち着いていた。
「で!世那の好きな髪型は?」
「まだ答えは言うなよ」
「みんなでせーので当てようぜ。――せーの、」
「「「「セミロング」」」」
4人の声が綺麗にハモった。否定も肯定もせず、目の前のオレンジ色の光を一点に見る。