日々、アオハル
 
「"黒髪"セミロングな」

「"鎖骨まで伸びた"も追加で」

「"ひなちゃんの'' も追加で」


勝手に盛り上がる3人を無視していると、「世那。正解は?」と右隣で波琉が右口角を持ち上げた。


「……お団子」

「へ?」

「団子?好きな食い物の話じゃなくて、好きな髪型の話してんだけど」

「だから好きな髪型。お団子」


淡々とそう告げれば、より一層騒がしさが増した。


「お団子?世那が?世那がお団子?お団子が世那?」

「なになになになになんで」

「やけに具体的すぎね?」


そんなにおかしなことを言っただろうか。特段変わったことは言っていないはずなのに、俺の答えが信じられないとでもいうように3人は声を張り上げている。


「世那がこんなん言うなんて絶対ひなちゃん絡みだろ」

「やっぱそれしかありえねーよな」

「まさか!お団子ひなちゃんにでも遭遇した?」


頭の片隅にずっと残っているのは、2ヶ月前に見た、体育祭終わりの羽森さんのお団子姿。


朝の電車で見る下ろしたままのセミロングも可愛い。大会の時にたまに見るツインテールも可愛い。羽森さんがどんな髪型でも似合うのは大前提として、あのお団子姿はとてつもなく可愛かった。


見慣れない新鮮さもあったからか、胸に込み上げてくるものがあった。Tシャツに制服のスカートという格好にもグッときてしまった。
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