日々、アオハル
 
「なー、実際どうなってんの?世那とひなちゃん」


痺れを切らした佐野がヒーターを挟んで俺の正面側に回りこんできた。


「連絡先は交換した」

「まっじで?!」

「いつどこでそんなタイミングあったんだよ」

「いろいろ。いろいろあって交換した。けど、今は連絡は取り合ってない」

「そのいろいろがすっげえ気になるんだけど!!!」


''いろいろ'' という言葉にあの日の出来事を丸めこんで端的に話すと、案の定3人は沸き上がる。こいつら元気だな、としみじみ思う。


羽森さんとは連絡先を交換してから、数回のやり取りはしたけど、俺から送ったスタンプで止まっている。あれから2か月、トーク画面は更新されていない。


「連絡すりゃいいじゃん!」

「したい気持ちはある」

「いや、それなら余計するべきでしょ。攻めて攻めて攻めまくらないと」

「きっかけがない」

「きっかけは自分で作るもんだよ」


ここまでニコニコと聞き役に徹していた波琉が、話に入り込んできた。「ひなちゃんみたいな子なら特に。自分からきっかけ作らないとまじで取られるよ」と淡々と続ける。


「世那、12月といえば?」

「は?」

「12月といえば何?」

「……寒い」


求められている答えの検討がつかず、そう答えれば、波琉の盛大なため息が落ちてきた。
< 94 / 95 >

この作品をシェア

pagetop