触れないで近付かないでキミと恋をする(マンガシナリオ)
第4話
〇公園(夕方)
ブランコに乗るゆまと零哉。
ゆま「…3ヶ月くらいしか付き合ってなかったんだけどね、隼太くんとは」

回想シーン:中学3年生の頃、席が隣になって仲良くなった。
隼太「付き合ってください」
ゆま「はい…!」
説明文:告白された時は嬉しくて、舞い上がっちゃって。
ゆま「でもその分すっごく緊張もした」
説明文:だからー…
回想シーン終わり

ゆま「触れるのがすっごく怖かった」
泣きそうな表情で話す。
ゆま「隼太くんといると楽しいんだけど、一緒にいるとドキドキして…」
自分の手のひらを見つめるゆま、悲しい顔で。
ゆま「汗も止まんなくなっちゃって」
悲しそうに無理に笑って、開いた手のひらを閉じて握りしめる。
ゆま「気付かれたくないってことばっか考えてた…っ」
瞳を潤ませて顔をしかめる。
ゆま「隼太くんと手が触れそうになるたび誤魔化して、わざと話題振っちゃったりして…それが避けてるように思われてたんだと思う」

回想シーン:2人で帰る帰り道、隼太が手を繋ごうとして振りほどいてしまうゆま。“近付かないで!”と、咄嗟に口から出てしまう。その時の悲しそうな隼太の顔を思い出す。
回想終わり

ゆま「実際そうなんだけどね」

説明文:避けてたから。気付けば、好きな人のはずなのに1番遠くに行こうとしていた。こんな私、恋をする資格なんてない。大事な人を傷つけてする恋なんか… 
ゆま「こんな自分大ッ嫌い…っ」

隼太“ねぇゆまは、本当は俺の事どう思ってたの?”
説明文:本当は好きだったの、ずっとずっと好きだったの。

ゆま「手を繋いで隣を歩きたかった…っ」
ブランコに乗ったまま顔を伏せて涙を流す、体を震わせポロポロ泣きじゃくる。ゆまの方を見て、ゆっくり前を向いて伏し目がちに口を開く零哉。
零哉「怖いよな、受け入れられないのって」
零哉「自分がダメみたいに感じるし、嫌われるのはもっと怖いし」
泣きながら聞いているゆま。零哉、髪を掻き上げる。
零哉「俺もさぁ、自由に伸ばしててなんか言われないかなぁーとかこの金髪親の遺伝なのに文句言われないかなーとか考えるし」
ゆま「え、それ地毛なの?」
零哉「ううん、染めた!高校デビュー!」
ゆま「…。」
零哉「やったー!顔上げてくれた!」
わーいと手を上げる零哉に対して、ぐちゃぐちゃの顔で顔を上げたことを後悔するように目を細めている。ゆまの顔をじっと見て微笑む零哉。
零哉「でも俺がゆまの彼氏だったら話してほしいけどな」
ゆま「…っ」
零哉「ゆまは怖いかもしんないけど、俺だったら知りたい」
零哉「知らないで避けられたりするのは寂しいじゃん?だってゆまのこと1番好きなんだよ」
目を合わせる2人。
零哉「それに本当にゆまのこと好きだったら、そんなことより触れてほしい」
零哉「俺だったら触れてほしい」
零哉、にこっと笑ってブランコを漕ぎ出す。数回漕いでトンッと助走をつけて前に飛ぶ。
零哉「つーかそんなんで嫌いになるような奴こっちから願い下げだよな!」
ポーズを決めたらくるっと振り返って、もう一度決めポーズを取るみたいにゆまの方を指差す。
零哉「そんなの気にならないぐらいゆま可愛いし!」
ゆま、ボンッと顔を赤くする。わかりやすく照れる。
ゆま「~…っ」
あはははと笑う零哉。
零哉「笑ってよゆま、可愛いんだから」
ゆま「別に可愛くはっ」
零哉「言ったじゃん、笑っときゃいいって!」

説明文:零哉くんといるのは心地よくてすごくラクだ。少しドキドキして… 

零哉「なぁカレー食ってかない?店入ろうと思ったらゆまがいたからさ」
ゆま「えっ、ごめん!邪魔しちゃったっ」
焦ってブランコから立ち上がる。
零哉「えー許さない!」
眉をハの字にしてしゅんとするゆまににこっと笑って返す零哉。
零哉「一緒に食いに行こうぜ」

説明文:ドキドキが大きくなった気がするけど 

歩き出す零哉の背中を追いかけて隣に並ぶゆま。

説明文:でも隣にいたいって思っちゃった。

〇学校・廊下(朝)
朝、登校して来たばかりのゆまと零哉話している。昨日のカレーおいしかったねとか、じゃがいもの主張強くてよかったとか、そんな話をしている2人を後ろから不思議そうに見ている千鶴。先に教室に入っていった零哉を確認して後ろから近付いていく。
千鶴「零哉といい感じじゃない?」
ゆま「ぎゃっ!!」
千鶴「すごい驚いてるじゃんあやし~」
ゆま「怪しくないよ!ただちょっと話してただけだし!」
ニヤッと笑う千鶴にたじたじな表情を浮かべるゆま。
ゆま「本当にちょっと話してただけだから…っ」
千鶴「別に仲良くしてたって全然いいのに」
ゆま「……。」
ゆま、軽く頬を染める。ニィと笑う千鶴。
ゆま「そ、そーゆう千鶴はどうなの!?由比くんとっ」
千鶴「あ、聞いて~!」
パァーっと表情を明るくして目をキラキラさせる、ゆまの隣に並んで嬉しそうに話し始める。
千鶴「会話してくれるようになったの!」
ゆま「会話…」
千鶴「前まではうんとかすんとかって感じだったけど、昨日とかは香耶(千鶴の苗字)ってよくしゃべるなーって言われちゃった!」
ゆま(…それって褒められてるのかな?)
千鶴「あとは基本ポーカーフェイスで何考えてるかよくわかんないけど!」
ゆま「……。」
千鶴「でもそこもいいっ♡」
ゆま「千鶴がいいならいいと思う」
ゆま「なんで由比くんのこと好きになったの?」
さらに目を輝かせる千鶴、由比のことを思い浮かべてうっとりする。
千鶴「顔がすっごく好き!!!」
ゆま「あぁー…」
千鶴「バカにしてる?」
ゆま「してない!それはしてない!顔が好きなもの理由の1つだしめちゃくちゃ大事だと思うよ!」
嬉しそうにゆまを見て笑う千鶴。
千鶴「ありがとう」
千鶴「ただの一目惚れなんだけどね、一目惚れってどーなんだろって思うじゃん?」
ゆま「そんなことないよ、それもキッカケの1つだよ」
千鶴「そう言ってくれると嬉しい~♡」
千鶴「否定されると悲しいじゃん、ゆまは否定しないでくれるから優しいよね」
ゆま「……。」
教室に入っていく千鶴の背中を追うゆま、そのまま少し視線を変えると零哉がクラスメイトと楽しそうに話している。それだけで少しドキドキする。

説明文:零哉くんは優しい。いつも私に元気をくれて、私を認めてくれる。私のダメなところを変えてくれる。零哉くんだったら…自分を隠さないでいられるのかな。 

零哉と目が合う、ドキッとする。微笑む零哉。ドキドキと心臓の音が大きくなるゆま。

説明文:零哉くんならー… 

1度下を向いて顔を上げる。

説明文:まずはちゃんと体育祭で踊れるようにがんばろう…!

〇学校・教室(授業終わり) 
立ち上がったゆまの方に後ろを向いて声をかける千鶴(ゆまの前の席)
千鶴「ねぇトイレ行こ~」
ゆま「あ、私日直だから黒板消さないとなの!」
千鶴「そっか、じゃあ行って来る~!」
ゆま、黒板の方へ行き黒板消しを持つ。びっしり書かれた黒板を消していく、ちょっと背が足りなくて上の方が消せずに困っていると由比が来る。代わりに消してくれる。
ゆま「由比くん…っ」
由比「……。」
ゆま「私日直だからいいよ!私の仕事だから!」
それでも消すことをやめない由比。
ゆま「由比くんっ」
ゆま(聞こえてないの?え、そんなわけないよね!?隣から呼びかけてるのにそんなわけ…)
無表情で消し続ける由比に困惑するゆま。
ゆま「…手伝ってくれてありがとう」
由比「違ぇけど」
ゆま「え?」
由比「ひょこひょこしてうざかった」
ゆま「……。」
上の方が届かなくてぴょんぴょん飛んでいたゆまのことを見て気になっていたから手伝った由比。でも優しさではない。
ゆま「…ごめんなさい」
不満そうに謝る。
ゆま(そこまで言わなくても…、一生懸命やってただけなのに)
ぷんぷんしながら黒板を消す、チラッと横目で見ると無表情で由比が黒板を消している。
ゆま「……。」
ゆま(全然表情動かない…、由比くんは本当何考えてるかわからないなぁ)
ゆま(でも千鶴の好きな人だもんね、あんまり悪く言うのはよくなっ)
由比「芹澤」
ゆま(え…)
黒板消しを持ったまま由比の方を見る、由比もじぃっとゆまのことを見ている。あまりに真っ直ぐ見られ圧倒される。
由比「芹澤って零哉と付き合ってんの?」
ゆま「えぇっ!?付き合ってないよ!」
わたわたと焦るゆまに対して一切表情を変えない由比。
由比「じゃあ…どう思ってんの?」
ゆま「え…」
ゆま(どう思ってるって聞かれても…そんなの…)
ゆま「ど、どうして由比くんに言わなきゃいけないの?」
由比「……。」
ゆま(なんでそこ無言なの!?なんか言ってよ!)
さらにじーっと見つめる、見られてゆまも少し顔をゆがめながらも目が離せない。
由比「芹澤の気持ちが聞きたいから」
ゆま「え…?」

説明文:私の気持ちー…?
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