ひとりだけ
「……でも、ここに自分から来ていないなら?」
「どういうこと?」
と、マミ。
「連れて来られた可能性だってあるじゃない。みんな、誘拐されたとか……」
話を聞いていた全員が、のどをごくんっと言わせた。
「誘拐!?」
大成の顔が青くなる。
(……)
「どこかで私達を連れて来た犯人が、監視しているかもしれないじゃない。確かにここからは出たいけれど、出たからと言って安全とは限らないって思ったの」
祐子の意見に、信も「そっか、そういうことだってあるのか」と、納得している。
「でも、監視ってどうやって?」
大成が尋ねる。
「監視カメラで見てるかも」
祐子の返事に、大成は腑に落ちないような顔つきをして、
「カメラなんか、この部屋のどこに仕掛けてあるんだよ」
と、言った。
(確かに、今のところざっと見渡しても、この部屋に監視カメラは見当たらない)
「何にもない部屋じゃん。監視カメラがあるなら、誰かが気づくって」
大成は部屋をぐるりと見渡しつつ、そう言った。