ひとりだけ
気を取り直して、私はその間、部屋のすみに移動して、私の考えをまとめてみることにした。
この中で今、一番気になるのは、マミだ。
最初、マミはこの血文字を書いていないと、私は推測した。
もし推測通りに血文字を書いていなくても、マミはこの状況の何かを知っているような気がする。
(なぜか急に態度が変わったことも、妙に気になる)
可愛い子ぶっているマミは、私には嘘くさく見える。
はじめに目が合った時の、あの探るような目。
あのマミこそが、本当の彼女だと思う。
(彼女が振る舞っているよりずっと、本当はしたたかで賢い女性なんだろうな)
そう考えると、なぜ、彼女は態度を変えたんだろう?
(何か、意味があるはず)
今だって。
血文字には決して近寄らない。
この血文字を心から怖い、と思っているから?
……いや、それも装っているのかもしれない。
演技には到底思えなかったけれど、マミなら演じられるかもしれない。