ひとりだけ

祐子の指摘に、ふたりは「なるほど……」と、揃った声で納得している。



「……県立K高校って、県内トップの進学校だったよな?」

「さすがK高生は賢いんだね、すごーい」
と、褒める大成とマミに対し、
「いや、今はいいからそういうの」
なんて、ドライな祐子。



「『ひとりだけ』……、違う、とか?」



信がぽつりと呟き、私もハッとした。



……そうだ。

あながち、大成やマミの言葉は間違っていないのかもしれない。



仲間外れを探すのはどうだろう?

私達は、同じ条件で、同じ場所にいるように思えるけれど。

違うところだってある。



例えば、さっきも思った記憶について。

なぜか大成だけが、他の人よりも覚えていることがある。



(だけど、泣き続けている女性の記憶はどこまであるのか、話していないからわからない……)



大成だけ、と決めつけるには早いかもしれない。



だったら?

他のみんなが同じで、ひとりが違うことは?
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