ひとりだけ

「……よくドラマとか漫画で見るような、デスゲーム的な? 助かる『ひとりだけ』の枠を巡って、みんなで戦わなくちゃいけないやつ」



大成はそう言ってすぐに、
「オレ、助からなさそうじゃない?」
と、半笑いの表情でマミを見る。



どう答えようか考えているらしいマミより先に、信が大成を見て尋ねた。



「なんでそう思うの?」

「いやー、自分で言うのも何だけど、そういうの、向いてないし」

「そういうのって?」

「なんつーの、戦い?」



祐子は、
「戦わずにみんなで帰れる方法を探そうよ。私達、協力してこの状況を乗り越えるんでしょう?」
と、信を見る。



(あれ?)



どうして?

そう思った。



祐子は。

大成のことなんて、特になんとも思っていなさそうだった。

大成が言い出した、こんな話をしていても。

なぜか信を見つめて話す。



私の感じた疑問に、誰も何にも思っていないのか、
「そーだよね!」
と、マミが頷き、
「みんなで力を合わせて、家に帰ろう!」
なんて拳を作って、可愛く「えいえい、おー」と言っている。
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