ひとりだけ

私はマミを、見直した。

そして、信用ができる人なのかもしれないとさえ思えてきた。


そうか。

マミが可愛い子ぶっていたのは、ぶりっこよりも嫌われそうな本性を晒して、選ばれてしまうリスクを減らすためだったんだ。



「……脅してるつもり?」



祐子が両腕をさすりつつ、マミに話しかける。



「ここにいる限り、マミだって私達と同じでしょう? 出入り口のない部屋に閉じ込められている事実は変わらない」

「……そうだね」

「だったら教えてくれてもいいじゃない。アンタ、何を知っているの? この部屋の、何を?」



祐子が尋ねると、マミは「え〜、どうしよっかなぁ?」と、わざとらしく小首を傾げた。



「じゃあ、大成にお願いがあるんだよねっ」
と、ぶりぶりしつつ、マミは大成を見る。



「な、何だよ」



マミは突然低い声で、こう言った。







「泣いている彼女を刺激するのは、やめて」






「えっ?」

「あの人のことは、放っておいて!」



「どういうこと?」と、信が泣いている彼女を振り返って尋ねる。



「あの人が、何かあるの?」
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