ひとりだけ

「何だよ、それ……」
と、信が残念そうにして、
「でも、“悪魔”でもないし、“召喚した人”でもないとは思う。そんな覚えがないし」
なんて、呟いた。



「“悪魔”……、この中にいるってことなの?」



祐子の顔が真っ青だった。

マミは頷き、
「そう。私達の中にね」
と、慎重に言う。



「だから、マミはみんなを信用できないって言ってたんだ?」

「うん……、そうだよ。ごめん」

「なんで謝るのよ。急にしおらしくなるの、やめてくれない?」



(…………そういうことか)




つまり。

マミの考えが正しいなら。

私と、泣いている女性の彩綾と、信の中に。

“悪魔”がいるってことなのか。



それにしても。

“悪魔”と“召喚した人”以外の、マミが忘れている役割とは何なんだろう?

“召喚した人”は、何を召喚した?

……“悪魔”かな?






「彩綾を刺激しないでって言ったのは」
と、祐子が小声で話しだす。



「“悪魔”の可能性があるから?」
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