ひとりだけ

「きみ、そんなことをしていたの? 問題を大きくするなって……、そもそもの問題を起こしたのはマミのほうじゃないか」

「……」



全員が黙った。

部屋の中には彩綾の嗚咽しか聞こえない。



「……彩綾は、“悪魔”だと思う?」



大成の問いかけに、祐子は、
「わからない。でも、いじめられていたなら、恨んでいるだろうね。相当」
と言い、マミを見つめて問いかけた。



「ねぇ、その小説ってホラー小説って言ってたでしょう? あらすじを覚えていないの?」

「えっ?」

「マミの話だと、“悪魔”が出てくるホラー小説ってことしかわからないから」

「……でも、全部一致するとは限らないし」



マミはなぜか、あらすじを言いたがらないように見える。



「ちょっと、覚えているなら教えてくれよ! オレ達だって知る権利があるはずだよ」



信の言葉に、マミは頷く。



「わかったけど、絶対に諦めたりしないでよ」

「……どういうこと?」
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