ひとりだけ
「小説の中ではね、“悪魔”というより、“召喚した人”を探し出すの」
「……それで?」
と、信が先を促す。
「“召喚した人”がわかると、なぜこの部屋で気づいたのかを主人公達は知ることになる。そして……」
「どうなるの……?」
マミの顔が、一気に青ざめた。
「……部屋にいる“悪魔”にみんな食べられてしまう」
「ちょ、ちょっと待って! その小説、バッドエンドなの?」
祐子が悲痛の顔で、マミを見る。
「そんな……、全員助からないってこと?」
「ううん、そうじゃない」
「えっ?」
「生き残る人はいたと思う」
祐子は泣き出しそうになって、
「でも食べられちゃう人もいるんでしょう…?」
と、呟いた。
「オレ達がこの部屋にいるのは、“悪魔”に食べられるため?」
信の言葉に、マミは彼を睨む。
「小説の通りにはいかないかもしれないでしょ! 諦めちゃダメ!」