ひとりだけ

「嫌だよっ、食べられるなんて耐えられない……!」



恐怖から、信がほとんど涙目で頭を抱える。



「諦めないでって言ったよね? 信、あなたが生き残る可能性だってあるんだから」

「で、でも、オレ……、助からないかもしれないなんて、怖いよ……! なんで全員助からないんだよ!! なんでこんな部屋にいるんだよ!!」

「しっかりしろよ、お前が一番言ってたんじゃん!協力して、この部屋から出ようって!」



マミと大成が信を励ます。

祐子も半べそをかきながら、
「そうだよね……、私だって、諦めたくない!」
と、頷く。



私は彼らを見ながら、またひとり、役割について考えていた。

“悪魔”と“召喚した人”と、もうひとつの謎の役割……。



(彩綾が“悪魔”?)



それなら、私がみんなを“召喚”しているんだろうか?

この部屋に?



(でも“召喚”って言われても、どういう方法なのか見当もつかないな)
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