ひとりだけ

もうひとつの役割がよくわからないままだから、考えても意味なんかないけれど。



(マミが考えた役割の割り振りが違う可能性だってある)



本当に祐子が“考える人”かどうかも、怪しい。

だって今のところ、みんな考えているから。

そう、私だってこんなふうに考えている。



(彩綾だって泣き通しだけど、その間に何かを考えているかもしれない)



ただ、彼女を刺激してはいけないと、私も思う。

『ひとりだけ』違うことが多いから。



あの血文字の意味。

『ひとりだけ』、何だっていうんだろう?



マミの読んだ小説の話でわかるのかと思ったけれど、どうもはっきりしない。

小説の通りの状況だから、きっと小説の通りに私達の運命も決まっているように思う。

でも、そうならないように自分達で未来を切り拓くことは出来るのか?



「……とにかくさ」
と、大成が言った。



「なんでこの部屋にいるのか、原因を知らなくちゃ先に進めなくね?」
< 40 / 59 >

この作品をシェア

pagetop