ひとりだけ
「それを知ったら“悪魔”に食べられるよ!!」
と、信が震える。
「確かに怖いけどさ、ここで気がついてどのくらい時間が経つのかもわかんないけど、オレ、もうこの部屋から逃げたいからさ」
「……うん。そうだね。今だって“悪魔”がいることに変わりはないんだし、ちゃんとみんなで話そうよ」
マミも頷く。
「“悪魔”があの子……、彩綾なら、みんなあの子に恨まれてるってこと?」
と、少し落ち着きを取り戻した祐子が言う。
「ひとりずつ、私達のことを何か思い出せない?」
マミが大成を見る。
大成は、
「……オレとマミと彩綾は同中ってことで共通点があるよな?」
と言い、彩綾に視線を移す。
「祐子と信は、彩綾のことを本当に知らないのか?」
「わからない。顔も見てないし、記憶だってあやふやだから」
祐子は申し訳なさそうに言う。
「意外と、信と彩綾が恋人とかだったりして」
と、マミが冗談っぽく言う。