ひとりだけ

そんなマミに信が、
「違う気がする」
と、即答した。



「なんで? 言い切れる?」



マミが尋ねると、
「……オレの好きなタイプの女子とは違うから」
と、信が言う。



「彩綾のこと、覚えてもいないのに?」

「覚えていなくても、なんていうか、感覚でわかることってない?」

「……」

「……」

「何? マミも大成も、黙らないでくれよ」



大成が、
「うーん、オレね、信とは友達になれないかも」
と、呟いた。



「えっ、なんでだよ。別に普通だろ?」



心外だ、と信が言いたそうな顔をしている。



「私は、わかるかも」
と言ったのは、祐子だった。



「感覚でわかること、確かにあるかも」

「え〜、祐子が!? 意外だなぁ」



マミが大袈裟に驚いている。



「お前ら、付き合うといいんじゃない?」
と、大成が笑って言う。



信と祐子が、再び顔を見合わせた。

ほんの少し、照れくさそうに。



「……そうだ、そうだよっ!」
と、大成。



「何だよ、もういいって」



照れている信に、大成はこう言った。
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