ひとりだけ

「お前ら、本当に付き合ってたんだよ!」



「えっ?」



みんな、きょとんとしている。

マミが、
「それも、記憶にあるの? 大成、アンタ、思い出したってこと?」
と、尋ねる。



大成は頷いて、
「オレ……、彩綾が信にこっぴどく振られている現場、見てるわ……」
と、なぜか祐子を見た。



「な、なんで、そこで私を見るの?」

「その現場に祐子もいたからだよ」

「えっ?」



大成の話をまとめると。

彩綾と信と祐子はそれぞれ他校の生徒ではあるが、同じ塾に通っていた。

そこで彩綾が信を好きになり、最寄駅のロータリーに呼び出して告白をした。



信は彩綾の告白が終わるなり、
『よくオレに話しかけられたね?』
と言い放った。



そこに現れたのは、祐子だった。

信と祐子は彩綾を笑って、ふたりで手を繋ぎ立ち去った…………、らしい。



「何それっ、私が?」
と、祐子。
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