ひとりだけ

「うん。すげー感じ悪かった」



大成は信と祐子を交互に見た。



「……覚えてない。でも、それで恨まれたってこと? 私が信の彼女だから?」

「オレなんて告白されて振っただけなのに?」


ふたりの言い分に、大成が眉をひそめる。


「恨まれるよ、お前らなら。傷つけてんじゃん」



「そんな……」
と、ふたりとも納得がいかない様子だった。



なるほど。

付き合っていたから、祐子はさっきから信を見て話すんだ。

信を気にしてしまうのは、好きだからなんだ。



「みんな、彩綾と関わりがあって、恨まれてるんだ?」
と、マミが冷静な声で言う。



「オレは何をしたんだろう? まだ思い出せない……」



大成が不安そうに言う。



「関わりがなさそうだもんね? ヤンキーのアンタは」
と、マミ。



「でもそれだったら、大成がここにいる必要がないじゃない」



祐子の口調は冷たい。



「そうだよ、自分のしたことだって暴露しろよな」



信の言い草に、大成はため息を吐く。



そんなみんなを見ていて、
(私は?)
と、考えた。
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