ひとりだけ

「ちょっと待って」
と、言ったのは祐子だった。



「“伝える人”は絶対に生き残らないって、なぜわかるの?」



その言葉を聞いて、彩綾はお腹を抱えて笑った。




……とんでもなく薄気味悪い光景だった。






「ほらね! マミは中途半端なんだよ〜! みんなに伝えられていない!! “伝える人”になりきれてない!! 全然ダメじゃん!! おっかし〜!!」



「……」



マミは黙って、彩綾を見ている。



「わかった、教えてあげる」
と、まだ笑いながら、彩綾は涙を拭った。






「生き残る人は、もう決まっているの。それは、“器の人”だよ」







「……“器”?」
と、反応した祐子。



私と信を交互に見ている。



すると彩綾がニッコリ笑って、本当に嬉しそうにこう言った。





「そう、“器”。“悪魔”に取り憑かれる“器”だよ」






「えっ……」



彩綾以外の全員が、衝撃的な言葉に凍りついた。



「それって……、生き残れることになるの?」
と、マミが呟く。
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