ひとりだけ

私はこれから。

ひとりひとりを捕まえて。

このお腹におさめる。



この部屋で気がついた時。

お腹にあった、あの感覚は。

満腹感と空腹感の、どちらでもあったんだ。



だって、そうでしょう?

前回はこの体を残して。

やっぱり全員を食べたんだから。



そして、また。

この部屋に、誰かがやって来たら。

お腹が空いてくるってものでしょう?



そうか。

だから私の手は真っ赤に染まっていたんだ。



この手で食べた人達の血だったんだ。



「……アンタ!! なんで召喚することが出来たのよ!!」
と、他の人同様に部屋のすみに逃げているマミが、彩綾に怒鳴る。



「私だってこの小説を読んでるけど、召喚するなんてこと、起こらなかったのに!!」

「小説を読んだ時、思ったから! 私だったら、誰を召喚するかなって!! そしたら声が聞こえて、この部屋にいた!! みんなが気を失った状態で倒れていたの!!」

「はぁ!?」
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